【明王院】
明王院(みょうおういん)は、
広島県福山市草戸町にある
真言宗大覚寺派の仏教寺院です。
芦田川に面した愛宕山の麓にあり
草戸稲荷神社が隣接しています。
かつては常福寺と言われており、
中世には草戸千軒町が
門前町として栄えていました。
本堂と五重塔は国宝に指定されています。
また、中国三十三観音霊場第八番札所、
山陽花の寺二十四か寺
第十八番札所となっています。
【明王院の歴史】
寺伝によると、明王院の前身である
「常福寺」は大同2年(807年)に
空海(弘法大師)によって
創建されたということです。
この由来の根拠は
江戸時代に作成された
棟札によるものですが、
ほぼ同時期に作成された
棟札がもう1枚あり、
こちらには大同年中に
「初住持沙門」と呼ばれる僧侶によって
創建されたと記されています。
当寺の本尊十一面観音像は
平安時代前期にさかのぼる作品であり、
寺の草創もその頃にさかのぼるものと
推定されています。
中世には門前に草戸千軒町
(川底に埋もれた中世遺跡として著名)
が栄えました。
江戸時代には福山藩主となった
水野家及び阿部家の庇護の下で繁栄しました。
【文化財】
【国宝】
<明王院本堂>
(附:厨子1基、棟札3枚)
入母屋造、本瓦葺き。
桁行(間口)、梁間(奥行)とも
5間(「間」は長さの単位ではなく柱間の数を表す)。
内陣蟇股の墨書から鎌倉時代の
元応3年(1321年)の建立と判明しています。
和様建築に鎌倉時代以降の
新様式である大仏様(だいぶつよう)、
禅宗様を加味した折衷様建築の
代表例とされています。
内部の外陣に見られる
輪垂木(わだるき)を用いた
アーチ型の天井は、
近世の黄檗宗寺院の建築には
見られるものですが、
中世には他に例がないとのことです。
外面の桟唐戸、断面が円形に近い
虹梁(こうりょう、
堂内の柱間に架けた水平材)などは
大仏様の要素であり、
粽(ちまき、柱の上部をすぼめること)、
台輪(柱上の板状の水平材)、
渦巻文様の木鼻
(貫などの水平材の端部の装飾彫刻)
などは禅宗様です。
虹梁を柱頂より一段高く持ち上げるために、
斗(ます)や絵様肘木を
複雑に組み合わせた架構を見せていますが、
これも他に類例のないものであるとのことです。
堂内は手前の梁間2間分を外陣、
奥の梁間3間分を内陣とし、
両者の間は結界で厳重に仕切られています。
内陣の両脇に脇陣を設けていますが、
これは参籠所として用いられていました。
外陣が開放的な構えであるのに対し、
内陣は窓がなく、
暗く閉鎖的な空間であるとのことです。
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<明王院五重塔>
南北朝時代の貞和4年(1348年)に
建立された純和様の五重塔です。
南北朝の代表的な
和様建築となっています。
初層内部の四天柱
(仏塔の初層内部に立つ4本の柱をさす)、
板壁などには極彩色の仏画や
文様が描かれています。
初層の来迎壁(仏壇背後の壁)の
「兜率天曼荼羅図」は
江戸時代に寺外に流出し、
現在は東京国立博物館の所蔵となっています。
相輪の刻銘には、
この塔が当時の繁栄した
草戸千軒の経済力を背景に、
ささやかな民衆の浄財を募って
建立されたことが明記されています。
【重要文化財(国指定)】
<木造十一面観世音菩薩立像(本尊)>
平安時代前期の作で像高 148.5cm。
頭上面は髻(もとどり)の頂に
阿弥陀仏一面、地髪上前面に
菩薩面三・左側面に
忿怒面三・右側面に牙をむく
忿怒面三・背面に大笑面一の
計十一面を頂いています。
作られた当時は
彩色されていたとのことですが、
現在ではいろがあせています。
【広島県指定重要文化財】
<明王院山門>
<明王院書院>
<明王院庫裡>
<木造弥勒菩薩坐像及び両脇侍>
(不動明王・愛染明王)坐像
【福山市指定重要文化財】
福山市指定重要文化財のうち、
木造弥勒菩薩坐像及び両脇侍
(不動明王・愛染明王)坐像は、
1993年(平成5年)に
「木造大日如来坐像及び
両脇侍(不動明王・愛染明王)坐像」の
名称で指定されていましたが、
2016年(平成28年)に
福山市文化財保護審議会が
再調査したところ大日如来坐像ではなく
「弥勒菩薩坐像」であることが判明し、
福山市教育委員会会議で
名称変更が行われました。
手に宝塔を置くと推測される穴が
開いていた事、
五重塔の伏鉢とに
「弥勒菩薩と縁を結ぶために建立された」
という意味の文が書かれていた
事等が決め手となったとのことです。
<木造南無仏太子像>
<木造五大虚空蔵菩薩懸仏>
<木造阿弥陀如来立像>
<木造不動明王立像>
<木造不動明王立像>
<木造制多迦・矜羯羅童子立像>
<墓石群>
愛宕神社の参道わきにあります。
鳥居をくぐってしばらく歩くとあるそうです。
鎌倉時代後期から室町時代にかけてのもので、
草戸千軒町にあったそうです。
<明王院鐘楼>
鐘楼は江戸時代初期となる
正保4年(1647年)に
水野勝成が建立したとの事です。
<七重石層塔>
<草戸愛宕神社本殿>
<石層塔残欠>
<絹本著色釈迦二十二部衆像>
<絹本著色不動明王像>
<絹本紺地金泥種子両界曼荼羅図>
<紙本著色訶梨帝母乾闥婆王像(童子経曼荼羅)>
<紙本著色十一面観音像千仏図>
<紙本墨画不動明王像>
<護摩堂本尊背障壁裏絵>
<前後の札所>
<中国三十三観音霊場>
【中国三十三観音霊場】
<7> 円通寺
<8> 明王院
<9> 浄土寺
【山陽花の寺二十四か寺】
<17> 円通寺
<18> 明王院
<19> 西國寺
<開運大黒天>
江戸時代半ばとなる
享保11年(1726年)に建立されたそうです。
【拝観時間】
午前8時~午後6時
【拝観料】
境内無料
【納経受付時間】
午前8時~午後6時
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【交通アクセス】
<電車>
JR山陽本線「福山」駅から
タクシーで約10分程度。
<車>
山陽自動車道「福山東IC」又は
「福山西IC」から30分程度。
【所在地】
広島県福山市草戸町1473番地
<駐車場>
参拝者用の駐車場有
<トイレ>
あります。
草戸稲荷神社~広島県で2番目に参拝者が多い神社で有名、門前町として300年存在した草戸千軒町遺跡があります。
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